ソニーが番組ネット配信に大きな一歩

ソニーが計画しているインターネット経由の番組配信サービスに米メディア大手バイアコムが番組提供することで基本合意に達したことが明らかになった。米経済専門紙ウォールストリート・ジャーナル紙などが報じたもので、米国における番組配信システムに地殻変動を起こす可能性も指摘されている。

 

米国では約9割のテレビ視聴者がCATV(ケーブルテレビ)や衛星放送、さらには電話会社が提供するIPテレビなどペイテレビと呼ばれる番組配信サービスに加入しテレビを見ているのが現状。放送事業者とペイテレビの間には切っても切れない関係が成り立っているが、新サービスが成功すれば若者加入者の間で離反傾向が顕著になりつつあるペイテレビ事業者にとってさらなる脅威となりそうだ。

魅力ある番組なしでは新事業の成功は望めずとあって、ソニーでは米メディア企業との交渉を水面下で進めてきた。今回、若者に人気の「MTV」や「コメディー・セントラル」、さらには子供向け専門局の老舗「ニコロデオン」など20あまりの人気ケーブル局を傘下に置くバイコムと基本合意にこぎつけたことで、同様なサービス設立を計画しているインターネット検索最大手グーグルや半導体メーカー最大手のインテルに先手を打つかたちで大きな一歩を踏み出したことになる。

ソニーは、ウォルト・ディズニーやタイムワーナーなど他メディア企業とも交渉を進めていることが報じられているが、ペイテレビ事業者から多額の再送信料や配信料を聴取しているメディア企業の中には慎重な構えの社もあるようだ。

 

ペイテレビの代替サービスを目指しながら、ソニーは新サービス確立が自社製品の販売活性化にもつながることを狙っている。同サービスの利用者はビデオゲーム機「プレイステーション」やネット接続機能が内蔵されているテレビ「Bravia(ブラビア)」保有者を想定している模様で、新サービスが付加価値となり、消費者の購買意欲促進につながればと期待しているようだ。ちなみに、プレイステーション3は全米で2440万台以上が売れている。いずれはスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型情報端末など他のソニー製品にもサービスを拡大する予定だという。

 

ソニーは、新サービス(名称未定)を遅くも来年初頭までに開設したいとしている。グーグルとインテル両社も同時期のサービス開始を計画している模様だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>