米メディア企業大手「21世紀フォックス(旧ニューズ・コーポレーション)」が8月17日、24時間スポーツ専門局「Fox Sports 1」(FS1)をスタートさせた。米スポーツテレビ界で圧倒的な人気を誇るウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局「ESPN」に匹敵するケーブル局設立を目標にしてきたルパート・マードック同社会長の執念が実った形だ。カーレースなどを扱ってきた車イベント専門局「Speed(スピード)を新装して立ち上げたため、視聴可能世帯数9000万軒という恵まれた環境でのスタート。初日のプライムタイム(午後8-11時)の平均視聴者数は170万人と上々のデビューとなった。若者に人気の格闘技(UFC)番組を編成したことが功を奏した模様。
米テレビ界にはFS1の行方について、「35年間の年月をかけて育まれてきた巨人ESPNの前に、相当な苦戦を強いられるだろう」との見方が少なくない。マードック氏自身が90年代に立ち上げを試み失敗した例や、CNNが96年に開設したスポーツ専門局「CNN/SI」が数年後に閉鎖に追い込まれた例があるからだ。
同時に、同社が96年に開設した「Foxニュース・チャンネル」が当時ニュース専門局の代名詞的な存在になっていたCNNを追い越しナンバーワン・チャンネルの座を確立した実績を指し、FS1が成功する可能性を予想する向きもある。Fox社が過去数年間進めてきた様々なスポーツ・イベントの放映権獲得戦略のおかげで、豊富なコンテンツがそろっていることも好材料だ。
米西部の大学アメフト・リーグ「Pacific 12カンファレンス」、米中西部の大学アメフト・リーグ「Big 12 カンファレンス」、ストックカー・レース(NASCAR)に加え、14年から権利を得る大リーグの試合放送を予定。また、サッカー・ワールドカップや最近獲得したばかりのプロゴルフのメジャー戦「全米オープン」などとメニューは豊富だ。
FS1の共同社長を務めるエリック・シャンク氏は、「スポーツの楽しさを全面に押し出す編成を展開していく」と、ESPNとの違いをアピール。著名なトーク番組の司会者やコメディアンなどとの出演契約も積極的に結んでいる。シャンク氏は、新局誕生周知のために徹底した宣伝活動を展開していくことを強調した。
一方、FS1を迎え撃つ王者ESPNのジョン・スキッパー社長は、「FS1の予想される編成内容を見たが、十分競争していけると思う。競争はESPNにとっていい刺激になるだろう」と余裕のコメント。