米テレビ界の新シーズンが9月16日の週から順次始まった。地上波4大ネットワークテレビ(ABC、CBS、Fox、NBC)の新シーズンでは、①CM飛ばし視聴が可能なデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を利用した番組視聴動向②長寿番組がいつまで頼りになるのか③Foxネットワークがカムバックできるのか④改善の兆しを見せているNBCネットワークが本格的な復調を果たせるか⑤ヒット番組は生まれるのか、などに関心が寄せられている。
まず、注目のDVR視聴。番組をリアルタイムで見てくれないばかりかCM飛ばし視聴が可能とあって、広告主はもとより放送事業者の頭痛の種になっているのは周知の事実。CM視聴率測定には放送後3日間のDVR視聴まで含むことが業界の常識になりつつあるが、これを「7日間に延長すべき」と主張するネットワーク側と、「タイムリーに見てくれなければCM出稿の意味がない」と抵抗する広告主との駆け引きが続く模様。ニールセン社によれば、米国におけるDVR普及率は今秋の段階で48%と昨秋の44%から着実に増えている。
ABCの『グレイズ・アナトミー:恋の解剖学(邦題)』やCBSの『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』さらには一斉を風靡したFoxのオーディション番組『アメリカン・アイドル』など、それぞれ約10年も続いている長寿番組が今季も健在。視聴率は低下傾向にあるが、いずれも視聴率トップ10の常勝者。ただ、未来永劫に高視聴率を稼いでくれる番組などなく、今季の動向に広告主が関心を寄せている。
Foxの『アメリカン・アイドル』は米テレビ界で最も重要視される18-49歳層視聴率で8年連続で王座についていたが、一昨年に首位の座をNBCのアメフト中継番組『サンデー・ナイト・フットボール(SNF)』に譲ったばかり。昨シーズンは大幅な視聴率低下で世帯視聴者数でも8位と大きく転落。今シーズンは番組のジャッジ(審判)の入れ替えなどで再起を図れるかどうか注目されている。また、圧倒的な人気を誇るSNF頼みのNBCが重厚な新番組を投入。若者層で視聴率3位あるいは2位に浮上できるかどうかがポイント。
ところで、4大ネットワークはいずれも女性視聴者数が男性を上回っているのが現状。広告主がターゲットにしている男性視聴者獲得をめざした新番組が目立つが、中でも注目度ナンバーワンは、世界的なヒット作となった映画『アベンジャーズ』の極秘組織シールドを題材にしたABCのドラマ『Agents of S.H.I.E.L.D』。