世界市場におけるテレビ出荷台数が久方ぶりに増加傾向に転じそうだ。家電商品などの市場調査にあたるフューチャーソース・コンサルティング社によれば、2013年のテレビ出荷台数はプラス成長に転じ、その後も17年まで右肩上に伸びていきそうだ。
先進諸国では引き続き出荷台数が低迷するが、新興国では前年比6%増(13年)と順調な伸びを示し、全体の出荷台数の60%を占める好調ぶりを示すという。
同社ではプラス成長を担うのがフルハイビジョン(HD)テレビの4倍の解像度を持つ4Kテレビだと見ている。本格的に認知されるまでにはまだ2,3年の年月が必要なものの、その後は出荷台数が確実に上昇カーブを描いていくと予測している。昨年の出荷台数はわずか62,000台だったが、今年は一挙に780,000台に増え、17年までには2200万台が出荷される見込みだという。
ただ、米国市場では4Kテレビの普及が他地域に比べ遅れそうだ。テレビの買い替えサイクルが6-8年といわれる米国ではHDテレビの買い替え時期に差し掛かっているが、4Kテレビへの関心がそれほど高くないのが現状だ。不発に終わった3D(立体)テレビのおかげで米消費者は、新しいテレビ・テクノロジーに対する懐疑心が強いのがその理由の一つだという。ちなみに、スポーツ専門局ESPNは同テレビに見切りをつけ、3D専門チャンネルを今年いっぱいで閉鎖することを決定した。
そして、アナログテレビに変わって登場したHDテレビの画質は当時、強烈な印象を消費者に与えたが、4Kテレビが同様なインパクトを消費者に与えることはないと指摘する専門家もいる。米専門誌「TVテクノロジー」は、放送事業者が4K テレビ向けの番組制作にたどり着くまでにまだ相当の年月がかかることを予想、「見たいコンテンツ(番組)がなければ消費者の(4Kテレビ)購入意欲はわかないだろう」と指摘している。さらに、米テレビ視聴者の約9割が、CATV(ケーブルテレビ)や衛星放送事業者などペイテレビと呼ばれる再送信サービスでテレビを見ている事情を鑑み、これらのペイテレビが4K番組の伝送に必要な帯域の工面に苦慮するだろうとの見方も出ている。映像圧縮技術の開発が先決だというのだ。
また、財布のひもの固いことで知られる米消費者にとって4Kテレビの高価格も気になるところだ。HDテレビ登場の際には、「1000㌦以下にならなければ買わない」と答えた消費者が大半だった。