来年2月にロシアで開催予定の第22回冬季五輪「ソチ大会」、米国内の独占放送権はNBCユニバーサル(NBCU)が保有する。NBCUによれば、同オリンピック番組中に放送されるCM販売がすこぶる順調に推移しているようだ。今年5月中旬の時点で75-80%の枠が売り切れとなったことが明らかになっていたが、NBCUのスポーツ部門営業担当専務セス・ウィンター氏がこのほど明らかにしたところによると、売上高はすでに8億㌦に達しており、2002年ソルトレイク大会と10年のバンクーバ大会に記録した7億5000万㌦規模を上回る模様だ。冬季五輪としては過去最高記録を樹立するという。
NBCUの地上波テレビ直営局や系列局が独自に得るローカル広告を含めば9億7000万㌦に達する可能性もあるようだ。ソチ五輪会場は大都市から離れているため、通常NBCUが計上する五輪制作費1億㌦を上回ることが予想されているが、国際オリンピック委員会(IOC)に支払う米国内独占放送権7億7500万㌦を加算しても十分黒字運営になる勘定だ。
ロシアは同性愛者への抑圧が厳しく、大会スポンサーを辞退する広告主が出るとの観測もあったが、ウィンター氏によれば、いまのところその影響は全く見られないという。同氏によれば、「すべての広告主が同国の反同性愛法に懸念を持っているのは間違いないが、五輪広告を控える動きはまったく見当たらない。各社、ユニークな形でそれぞれの考え方をアピールしていくのではないか」と述べている。
ウィンター氏は、米テレビ界最高額のCM料金が課せられる「スーパーボウル」が一日のみのイベントであるのに対し、五輪大会はほぼ3週間にわたる長丁場。しかも延べ2億1500万人(ロンドン五輪)を魅了するユニークなプラットフォーム(広告舞台)であることを強調している。ちなみに、夏季大会のCM売上最高額は12年のロンドン大会時の10億㌦。
業界紙「アドバタイジン・エイジ」によれば、広告主のリストには、コカ・コーラ、プロクター&ギャンブル、マクドナルド、ビサ、AT&T、ゼネラル・モータース、BMW、シティバンク、ケロッグス、GEなど常連が並んでいるほか、新顔には米保険会社リバティ・ミューチュアルや石油メジャーのBPなどが挙がっている。
ソチ五輪でNBCUが課すCM料金はまだ明らかになっていないが、メディア関連サイトMediaPostなどによれば、これまでの大会では30秒CMが65-80万㌦というのが相場だという。