9月中旬から順次始まった米テレビ界の新シーズン(2013-14年シーズン)が例年になく幸先いいスタートを切っている。地上波テレビネットワークを見ると期待がかかっていた複数の新番組がそれなりの視聴者を引き付け、広告主が重視する視聴者層(18-49歳)の人気番組トップ20に新番組が6本食い込む健闘ぶりだ。ちなみに、昨シーズンは2本に留まっていた。
いまのところ、新番組の中で一番輝いているのがABCネットワークの『Marvel’s Agents of S.H.I.E.L.D.』(昨年大ヒットした映画『アベンジャーズ』の極秘組織シールドを題材にしたアクション・ドラマ)。同ネットワークの課題となっている若者男性視聴者獲得を狙い肝いりでデビューさせた大型番組だが、18-49歳層の平均視聴率は、合格点とされる2.0%を優に超える3.5%台を保持している。
これに続いているのがNBCネットワークの『Blacklist(ブラックリスト)』。エミー賞の主演男優賞に輝くジェームズ・スペインダーが、当局の情報網にも載っていない犯罪者たちのリストを握る人物を演じる大型サスペンス・ドラマだ。同層の平均視聴率はほぼ3.5%台と、こちらも事前に寄せられた期待を裏切らない成果を挙げている。Foxネットワークの新番組『スリーピー・ホロウ』(米映画にもなった、首なし騎士を扱ったホラー・ドラマ)も3%台と順調な滑り出し。また、重厚なドラマに加え、CBSネットワークがデビューさせたコメディー番組、『The Crazy Ones』や『The Millers』などもトップ20に入りしており、4大ネットワークがそれぞれ注目に値する番組を送り出している。
ところで、新シーズンでは、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)などを使ったタイムシフト視聴とソーシャルメディア、特に短文投稿サイト「ツイッター」を使った番組についての“つぶやき”が活発なことも顕在化している。前述のスリーピー・ホロウなどは、初回の放送当日の若者層視聴率が3.4%だったが、1週間のDVR視聴を加えると5.8%にも上るなど、放送日だけの視聴率では番組の人気度が図り切れない状況になっている。若者向けケーブル局FXの番組『The Bridge』は、DVR視聴者数が放送当時のものを上回る異例な事態になってる。
一方、テレビ番組に関する“つぶやき”も急増中。4-6月期における発信者は1900万人、計2億6300万件のつぐやき(前年比38%増)が番組視聴率に少なからぬ影響を与え始めているとの指摘が頻繁に聞かれるようになった。