インターネット経由の動画配信サービス大手の米Netflix(ネットフリックス)が7-9月期決算を発表した。市場の予想を上回る加入者数増のおかげで純利益は前年同期比4倍増となる3180万㌦、売上高は同22%増11億1000万㌦を記録した。
郵送DVDレンタル・サービスも並行して提供する同社の米国内における加入者数は同期に130万人増え、3000万人の大台に達した。ネットフリックによれば、実際の契約者数は2993万人。お試し期間を利用した加入者を含めると3109万人に上るという。
いずれにしても、人気有料チャンネル「HBO」の加入者2896万人を超える快挙といえ、米報道の中には、「画期的な記録に達した」などと好意的かつ驚きをもって取り上げる向きもある。ちなみに、HBOは米テレビ界の優れた番組に与えられるエミー賞受賞作を量産してきたケーブル局で、配信プラットフォームが違うとはいえネットフリックの成功度を測る存在として引き合いに出されてきた。
なお、世界市場における加入者数も同期140万人増の920万人を獲得、国内外を合わせた加入者数は4000万人に達した。
ネットフリックスは月額7.99㌦の定額制を採用。地上波テレビネットワークやケーブル局のプライムタイム番組の再放送版や公開済みの映画などをオンデマンド形式で提供。利用者はパソコンや高機能携帯電話(スマホ)、さらにはタブレット型情報端末などに専用のアプリケーションを設置して視聴するが、好きな番組を好きな時間に視聴する「タイムシフト視聴」にぴったりのサービスとあって若者を中心に普及した。
最近は、オリジナル番組の制作に力を入れ始め、今年公開されたドラマ・シリーズ『ハウス・オブ・カード』(政治スキャンダルを扱ったサスペンス)がエミー賞のドラマ部門にネット配信番組としては初めてノミネートされるなど、米メディア界の台風の眼になったほどだ。その後公開されたシリーズ『Orange Is the New Black』(恋人の麻薬犯罪を手伝った若い女性の刑務所生活をコミカルに描いた)も大好評で、同社CEO(最高経営責任者)リード・ヘイスティング氏は、今年10-12月期には米国内加入者数が3270-3350万人、世界市場における加入者数は1000万人に達するとの強気な見通しを示している。
ネットフリックスに対しては、テレビ離れを助長するとの声が上がる一方で、同サービスに番組再販の新たな活路を見出そうとするメディア企業もあり複雑な思いが交錯している。