高視聴率で終了したWシリーズ

米大リーグの王者決定戦第109回ワールドシリーズは1030日、 ボストンのフェンウェイ・パークで第6戦が行われ、日本の上原・田沢両投手が所属するアメリカン・リーグの覇者ボストン・レッドソックスがナショナル・リーグの代表セントルイス・カージナルスを破り対戦成績を42敗とし、6年ぶり8度目の栄冠に輝いた。レッドソックスがホームでワールドシリーズ決定戦を制覇したのは実に1918年以来95年ぶりのこと。

  ワールドシリーズは全試合にわたって米地上波テレビFoxネットワークが全米に向け独占放送したが、ニールセン社の速報によれば、最終戦の世帯視聴率は11.5%、視聴者数1920万人と昨年を上回る人気を博した。しかし、2011年のワールドシリーズ第6戦が獲得した2110万人、09年の2230万人などには及ばなかった。

それでも、今回の決定戦では広告主がターゲットにしている視聴者層1849歳層の視聴率が5.7%(シェア15%)に達し、Foxを難なく同夜のプライムタイム・ナンバーワン・ネットワークに押し上げる原動力となった。1023日に開催された第1試合から第5試合までの平均視聴者数も約1500万人と、各試合が放送された日のプライムタイムでFoxを「最も見られたネットワーク」にランクづけ、若干人気に陰りが出てきたとはいえワールドシリーズの底力を見せつけた形となった。

広告主もワールドシリーズ広告出稿に特別な価値を認めている模様で、米調査会社カンター・メディアによれば試合中に放送されるコマーシャル(CM)料金も過去4年間、視聴率の上下にかかわらずコンスタントな価格がついているという。同社によれば、08年のワールドシリーズ中継番組で放送された30CM40万㌦で売買され、その後も、09457000㌦、11421000㌦、平均視聴者数が1260万人と過去最悪を記録した12年でさえ45万㌦で取引された模様だ。

なお、Foxネットワークの親会社21世紀Foxは、ワールドシリーズを今回から世界市場でも放送することで大リーグと合意。傘下のFox International ChannelsFIC)を通して中南米やアジアさらにはヨーロッパなど約300チャンネル、累積視聴者世帯数87500万世帯に熱戦の模様を届けたという。大リーグの海外ビジネス事業担当上級副社長は特にヨーロッパ市場について、「欧州での大リーグ人気はうなぎのぼり。FICとの合意もこのような流れを受けてのもの。大リーグにとってエキサイティングな展開だ」と語っている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>