全米最大のケーブルテレビ(CATV)事業者でありメディア娯楽企業NBCユニバーサル(NBCU)をも傘下に抱える複合企業コムキャストはこのほど2013年7-9月期の決算を報告した。売上高は前年同期比2.4%減少の161億5000万㌦。純利益は同18%減17億3000万㌦で減収減益となった。
前年同期はNBCUが米国内独占放映権をもつ五輪放送(ロンドン大会)のおかげで売上高が大きく加算されたが、今季は同様な一時収入がなかったためだ。同社では五輪効果を差し引きすれば、今期の売上高は5.2%増になったはずだとしている。
NBCUの売上高は前年同期比14.2%減となる59億㌦。営業利益は同11.8%減8億9800万㌦だった。放送部門の中で五輪放送のなかった地上波テレビNBCネットワークの売上高が41.4%も減少したことが大きく響いた。同部門の営業利益は同81.3%減1100万㌦に留まった。
人気チャンネル「USA Network」、「Syfy」、「E!」などを抱えるケーブル局部門の売上高は前年同期比4%増となる22億㌦。営業利益も同11.8%増の8億9800万㌦を計上した。広告収入が4.6%増となったが、番組配信料が5.4%増と寄与した。
放送部門のほかに、NBCU傘下の映画部門(ユニバーサル映画他)が3Dアニメ映画『怪盗グルーのミニオン危機一発(原題:Despicable Me 2)』などのヒット作にめぐまれ売上高が前年同期比4.4%増となる14億㌦、営業利益は同172%増1億8500万㌦。また、テーマパーク部門もフロリダ州のユニバーサル・スタジオに新設されたトランスフォーマ(乗り物)が人気だったことなどで売上高は同7.9%増となる6億6100万㌦、営業利益も同7.6%増の2億7000万㌦となりグループ全体に大きく貢献した。
一方、CATV部門を見ると、好調なブロードバンド・サービスに支えられるかたちで、売上は前年同期比5.2%増となる105億㌦。営業利益は同12.8%増の27億㌦を記録した。米CATV事業者はテレビ配信の加入者数が下降気味で、コムキャストも同サービス加入世帯数が同期12万9000軒減少した。
元来基幹サービスだったテレビ番組配信サービスにかわりブロードバンド・サービスの比重が大きくなっているのが特徴で、その代表格がコムキャスト。わずか3年前にはテレビ・サービス加入世帯数が2300万軒。ブロードバンド加入世帯が1700万世帯だったが、現在ではテレビが2160万軒なのに対しブロードバンドは2030万軒に膨れ上がっている。ブロードバンド・サービスが基幹サービスになるのは時間の問題というのが大方の見方だ。