世界のメディア王の異名をとるるパート・マードック氏率いる米メディア企業「21世紀フォックス」はこのほど、2013年7-9月期の決算を発表した。新しく立ち上げたケーブル局の経費が嵩んだことなどから純利益は前年同期比43.8%%減となる約13億㌦。ただ売上高は、相変わらず人気のケーブル局や映画部門などが健闘し、大方の予想を上回る同18%増の70億6000万㌦となった。
マードック氏は決算報告の中で、米メディア界の羨望の的になっているウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局「ESPN」に対抗する目的で開設された新チャンネル「Fox Sports 1」や若者向け人気局「FX」のスピンオフ・チャンネル「FXX」について、「こういった投資は社の持続的成長を担うことになる」と説明。16年における償却前営業利益を90億㌦に設定していることを明らかにした。
売上高を部門別で見ると、ケーブル局部門は、FXや地域向けスポーツ・チャンネルに加えドキュメンタリー専門局ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルなどが好調で広告売上が増えたほか、CATVなどペイテレビ事業者から得る配信料が4割増収になり、売上高は同12%増となる28億1000万㌦を記録した。また、映画・番組制作部門は、人気コメディー『モダン・ファミリー』のシンジケーション番販やネット配信サービスNetflixなどへの番販が好調で、売上高は前年同期比9%増の21億2000万㌦に達した。
一方、ニュース専門局CNNや映画会社ワーナー・ブラザーズを傘下に置くタイムワーナー社の同期決算報告によれば、人気有料チャンネルHBOを含むケーブル局部門が大きく寄与し、純利益は前年同期比44%増となる12億㌦を計上した。売上高は同0.3%の微増となる68億4000万㌦だった。
ケーブル局部門は、ペイテレビ事業者から徴収する配信収入が前年に比べ4%増加したほか、広告収入も11%増となるなど、売上高は同5%増の35億㌦。純利益は同20%増となる15億㌦だった。映画部門は、昨年同期に大ヒット作となったバットマン・シリーズの『ダークナイト・ライジング』に見合う作品がなかったことなどから、売上高は同7%減となる27億㌦。純利益も同6%減となる3億700万㌦に留まった。
14年前半での分離が予定されている出版部門は、雑誌「タイム」などの購読数が同4%の減少を見せるなど不調で、売上高は同2%減8億1800万㌦。営業利益はリストラによる経費削減などが功を奏して同50%増となる1800万㌦となった。