北米におけるスポーツ市場がすこぶる元気だ。2012年に536億㌦規模だったものが、今後は福利年率が5%近い成長を遂げ、2017年には677億㌦規模にまで拡大するという。そして成長を支える一大要因となっているのがメディア企業が各スポーツ・リーグなどに支払う放映権料の増大だ。
コンサルティング・ファーム大手「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によれば、スポーツ市場の主な収入源は①入場料②スポンサーシップ③放映権料④キャラクター商品販売の4分野。13年の収入はそれぞれ①が172億2100万㌦、②が140億8600万㌦、③が124億㌦100万㌦④が13億2130万㌦となる見込み。
中でも放映権料は向こう4年間に福利年率7.7%と断トツの伸びを見せ17年には170億9200万㌦に達するという。
入場料収入は17年に190億9200万㌦に達し、スポーツ市場の伝統的な稼ぎ頭であることに変わりないが、同分野の福利年率は3.9%と、放映権料の7.7%に大きく水をあけられることになりそうだ。PwCは、入場料が値上がり傾向を続けていること、「スタジアムへ出向くよりも家で観戦するほうが楽にすむ」と考えるファンが増えていることなどを理由に挙げている。
また、スポンサーシップ収入も福利年率6.0%と好調に推移、17年に177億900万㌦に達するほか、キャラクター商品からの収入は同1.6%と138億2300万㌦に達することが見込まれている。
いずれにしてもPwCでは、スポーツ中継番組の視聴率が今後も上昇を続けていくと見ているほか、スポーツ中継番組は消費者がリアルタイムで視聴してくれる数少ない番組として広告主の間で圧倒的な支持を受けていることなどを挙げ、今後も放映権料が値上がりを続けていくことを予想している。
加えて、今年開設された「Fox Sports 1」のような全国向けスポーツ専門局や地域向けのスポーツ局が増える傾向にあり、リーグにとって新たな放映権収入を求めるプラットフォームが増えていることも追い風になっている。
ところで、スポーツ市場の拡大を支える放映権料の増大は、米メディア界のデリケートな依存関係に様々な影響を与え始めている。スポーツ専門局などが高騰する放映権を賄おうと、ペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)事業者に配信料の値上げを突きつけているが、それを受けてペイテレビは消費者に加入料値上げを要求。値上げを嫌った消費者がペイテレビの解約を始める、といった悪循環が始まっている。