米報道機関、ドローンに注目

米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムがドローンとよばれる小型無人機を使った配達を計画していていることが明らかになり大きな話題になっている。そして、そのドローン、事故・事件現場などの取材時に有効な新兵器として活用できるとして米報道機関から関心が寄せられている。去る11月下旬、台風30号が甚大な被害をもたらしたフィリピンの被災地の模様を英国人カメラマン、ルイス・ワイルド氏がドローンを使い撮影した映像が米ニュース専門局CNNで流れたことがきっかけの一つとなったようだ。

ワイルド氏は、同被災地の取材に当たって、空撮の必要性を考えたが、住民の救済に当たるフィリピン軍のヘリコプターを頼るのは間違いだと思いドローン取材を決めたという(ニューヨーク・タイムズ紙)。取材に使ったドローンは同氏が製作したもの。撮影した映像は広大な地域にまたがる被災地の詳細を克明に捉えたばかりか、二人の遺体を発見、当局の回収作業に大きく役立った。

ワイルド氏は現在、1020マイル(1632キロメートル)の飛行が可能な大型ドローンの制作を考えている。熱感知装置のついたカメラや化学兵器を関知するカメラの搭載なども視野に入れている。化学兵器関知について同氏は、「例えばシリアの上空を飛ばすなど、これまでのジャーナリズムでは考えられなかった取材ができるようになる」と抱負を語っている。

人間が乗る必要もなく、ヘリコプターや軽飛行機の調達なども不要なドローンは、大規模な山火事や竜巻などが発生した被災地の取材にうってつけといえそうだ。初動を早くすることができ、貴重な映像を撮影できるメリットもあるだろう。

米国では現在、米連邦航空局(FAA)の規制により民間によるドローンの飛行は制限されているが、2015年に規制緩和されるとの見方もあり、ドローン推進派の間で「緩和されればジャーナリズムに多大な恩恵をもたらすことになる」などと期待が寄せられている。

名門コロンビア大学ジャーナリズム大学院、そしてミズーリ大学やネブラスカ大学のジャーナリズム学科ではすでに“ドローン・ジャーナリズム”コースが設置されており、ミズーリ大学では実際にドローンの実地研修が行われたこともある模様だ。

 英国ではすでに公共放送BBCが、ドキュメンタリー(渡り鳥密着)や報道番組でドローンを使った映像を放送しているという。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>