14年米広告費、五輪・選挙で増加へ

世界屈指の広告会社3社傘下の代理店や調査会社が2014年における広告支出の予想値を発表した。昨年暮れニューヨークで開かれた毎年恒例の投資銀行主催の会合で一斉に発表したもので、各社米国の広告支出について、冬季五輪ソチ大会が開催されることや中間選挙の年ということで、13年に比べ増加すると見ているが、社によって“穏やか”あるいは“堅調”などと見通しに若干の違いが出ている。

14年米広告費は5.5%増と一番強気な予報を出したのがインターパブリック傘下の調査会社マグナ・グローブ社。五輪や選挙効果に加え、インターネット広告が4大媒体の中で低迷を続ける新聞・雑誌・ラジオの代わりに大きく躍進することを挙げている。特に中間選挙については、オバマ大統領が打ち出している医療保険制度改革をめぐり連邦議員候補の間で激しい応酬が予想されることなどから選挙広告出稿が通常より増すと見ている。

世界屈指の広告会社ピュブリシス・グループ傘下のゼニス・オプティメディアでは、4.7%増を予測。米CATV最大手コムキャスト傘下のメディア・娯楽企業NBCユニバーサルが独占放送する冬季五輪や中間選挙などの“大イベント”に広告予算を増額する企業が増えると見込んでいる模様だ。

一方、一番悲観的なのがWWPグループ傘下のグループM。同社の予測はわずか2.9%増に留まると予測。総広告費は1610億㌦に達すると見ている。

一方、世界市場においては、ソチ五輪に加えブラジルで開催されるサッカー・ワールドカップを好材料としている。各社とも中国を中心としたアジア太平洋地域や中南米諸国における広告費の大幅拡大や、モバイル広告やインターネット広告が引き続き大幅に伸びると見込んでおり、大幅拡大を予想。マグナ・グルーブは6.5%増となる5216億㌦。ゼニスは5.3%増となる5320億㌦。グループM4.6%増の5310億㌦に達すると見込んでいる。

グループMによれば、広告媒体の中で最も顕著な伸びを示すのがモバイルやインターネットからなるデジタル媒体。14年の同媒体向け広告費が総広告費に占める割合は21%、総額1100億㌦と新聞や雑誌媒体の不振ぶりを尻目に引き続き拡大する勢いだ。

なお、ゼニスは16年における国別の広告費も予測しているが、首位米国(19026900万㌦)、2位の日本(5625200万㌦)の構図に変わりないが、3位中国が5535600万㌦と、日本に迫る勢いだ。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>