米国で「自分の好きな番組を好きな時間に視聴する」タイムシフト視聴に一番よく使われるツール、HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の普及率が鈍化していることがこのほど明らかになった。米調査会社ライクマン・リサーチ・グループ(LRG)によれば、現在DVRを保有する米テレビ世帯は全体の47%。2010年の40%からほぼ足踏み状態といってもいい状況だ。
ただ、DVR保有家庭の間ではDVRを2台以上保有している世帯が50%と、5年前の30%から急増していることも分かった。DVRファンの間では、保有するすべてのテレビにDVRを接続する傾向が高まっているという。ちなみに、テレビ世帯全体で2台以上のDVRを利用している世帯は23%と、5年前の8%から着実に増えている。
そして、ペイテレビ・サービス加入世帯の55%がDVRを利用している一方で、直接受信世帯ではわずか4%にとどまっており、これまでのDVR普及にペイテレビが大きな役割を担ってきたことがうかがえる。
ペイテレビの中ではCATV加入者によるDVR利用率が62%と、電話会社(IPテレビ)加入者の57%を上回っていることも分かった。衛星放送加入者の場合はインフラ上双方向性に乏しいこともあってかDVR利用率は2者を大幅に下回っている模様だ。
さて、DVR普及率鈍化の一方で、
オンデマンド・サービスの利用率が急上昇中だ。インターネット上の映画・テレビ番組配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」に加入たり、ペイテレビ事業者が提供するオンデマンド・サービスを利用する世帯が全体の7割にも上っている。DVR普及率が鈍化してもタイムシフト視聴は急上昇中であることを裏付ける数字だ。
中には、DVR・ネットフリックス・オンデマンドすべてを利用している世帯が全体の11%いたほか、いずれか2つのサービスを利用していると答えた世帯は23%にも上っている。
ところで同調査では人気絶好調のネットフリックスの加入者が1ヵ月に視聴するテレビ番組の本数が19.6本と11年の9.9本、12年の12.7本から着実に増えていることも判明した。LRGではDVR利用以外のタイムシフト視聴の選択肢が急増したことを指摘しながら、「過去10年間で米消費者による映像の見方が大きな変化を遂げている」と結論づけている。ちなみに、昨年9月から始まった米テレビ2013-14年シーズンでは、タイムシフト視聴による番組視聴が急拡大していることが報告されている。