世界のメディア王の異名をとるルパート・マードック氏率いる米娯楽・メディア企業大手「21世紀フォックス」はこのほど2013年10-12月期の決算を発表した。同期は地上波テレビ放送部門や映画部門などが不振だったことなどがたたって純利益は前年同期比49%も落ち込む12億㌦となった。売上高はドイツの衛星放送事業の買収やケーブル局群が健闘したことなどから、同15%増となる82億㌦に達した。マードック氏は決算発表に際し、グループ傘下のすべての部門で売上高が増大していることを指摘しながら「減益は各部門への投資などによるもので、将来的には増益につながることを信じている」と述べた。
グループの稼ぎ頭である放送部門を、Foxネットワークを柱とする地上波テレビグループとニュース専門局Foxニュース・チャンネル(FNC)や若者向けのFXなどを含むケーブル局グループに分けてみると、ケーブル局の貢献度が一目瞭然だ。まず、ペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収する同期の配信料が前年同期比15%増加したことが大きな要因になっている。若者向け番組専門チャンネルFXが好調なことや地域向けスポーツ・チャンネルが人気なことからペイテレビ各社が値上げに応じた結果だ。視聴率良好に応じた広告収入アップも寄与した。売上高は14%増となる29億6000万㌦。減価償却前営業利益(OIBDA)は2%増の10億4000万㌦だった。
一方、地上波テレビ部門は、こちらもペイテレビからの再送信料収入が拡大したことなどから、売上高は前年同期比6%となる16億㌦。しかし、Foxネットワークが放送するオーディション番組『Xファクター』や『アメリカン・アイドル』の視聴率低下にともなう広告収入低下などが響き、OIBDAは11%減となる2億1800万㌦に留まった。
映画やテレビ番組制作を主とするフィルム・エンターテイメント部門は、米テレビ界を代表するコメディー番組『モダン・ファミリー』のシンジケーション販売が大成功したことなどから、売上高は7%増の24億8000万㌦を記録した。しかし、昨年同期に封切られた映画『96時間/リベンジ』(Taken 2)やCGアニメ『アイス・エイジ4 パイレーツ大冒険』DVD販売に見合う作品がなかったことなどが影響し、OIBDAは21%減の3億3700万㌦となった。
衛星放送部門の売上高はスカイ・ドイチェランドが加わったことなどから66%増となる15億2000万㌦。一方OIBDAは45%減3000万㌦だった。