NBCUソチ大会放送が成功裏に終了

17日間にわたる熱戦が繰り広げられた第22回冬季五輪ソチ大会は23日、閉会式が行われ無事閉幕した。米国では冬のスポーツの祭典の模様をNBCユニバーサル(NBCU)が独占放送したが、無難な視聴率を獲得したうえ、傘下のスポーツ専門局「NBCスポーツ・ネットワーク」の活性化やプライムタイム番組の宣伝活動にも役立つなど、NBCU全体に様々な恩恵をもたらした。

まず、米国で人気の競技などをプライムタイム(午後8時-11時)で録画中継した地上波テレビNBCネットワークの平均視聴者数は大会を通して毎晩2140万人を記録、時差がほとんどなく全競技を生中継した10年のバンクーバ(カナダ)大会の2440万人を下回ったものの、今大会と時差がほとんど同じだった06年のトリノ(イタリア)大会の2020万人を上回る好結果だった。しかも、前大会では曜日によってはライバル・ネットワークの人気番組を下回ることもあったが、今回は大会中常にプライムタイムで首位の座を他社に譲ることはなかった。NBCU関係者は、「他プライムタイム番組に圧勝した記念すべき五輪放送となった」と胸を張っている。ちなみに、閉会式の視聴者数は、1510万人と前大会比29%減少した。

また、最も人気のある競技の一つであるフィギュアスケートはNBCネットワークのプライムタイムの目玉商品の一つだったが、事前にNBCスポーツ・ネットワークで生中継する“賭け”に出た。しかし、プライムタイムでの視聴率に悪影響は出ず、NBCスポーツ・ネットワークの認知度も急増する“ウィンウィン”状態となった。

1000時間にわたりすべての競技を“生放送”したインターネット配信も好評だったうえ、放送への悪影響は出なかったという。

そして、五輪放送収入も順調だった。NBCUIOCに払ったソチ大会独占放映権料は77500万㌦。運営費に1億㌦程度掛かった模様だが、デジタル配信広告収入も含め、広告収入が最終的には10億㌦を超えるという観測も出ており、黒字経営は間違いない情勢だ。視聴率では勝っていたバンクーバ大会は放映権が高かったこともあり2億㌦の赤字が報告されている。

ただ、NBCUにとって今後の五輪放送に課題がないわけではない。視聴者の高齢化だ。06年大会の視聴者年齢の中央値は50.9歳だったが、今回は若者層取り込みが期待されたスノーボードなどの競技が拡充されたにもかかわらず55.1歳と急上昇、今後、広告主の懸念材料となりそうだ。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>