アカデミー、4300万人超が視聴

米国の映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が毎年、最優秀映画作品、俳優、監督たちに授与する映画賞「アカデミー賞」の発表と授賞式が32日、ロサンゼルスで開催された。今年で第86回目となる授賞式の模様は米娯楽・メディア企業大手ウォルト・ディズニー傘下の地上波テレビABCネットワークが午後8時半(米東部時間)から3時間半にわたって独占放送した。米国ではスーパーボウルがライブ・イベントの王様ならアカデミー賞は女王という位置づけ。また、アカデミー賞のファンは圧倒的に女性が多いことから、“女性視聴者のスーパーボウル“などと捉える向きもある。

 ニールセン社の速報によれば、平均視聴者数は10年ぶりの好記録となる4300万人に達した。番組を6分以上見た人は7170万人に上り、ABCは成功裏に終わったとしている。

今年同中継番組で放送された30CM(コマーシャル)には昨年比9%増となる180万㌦の値がついた模様。米調査会社キャンター・メディアによれば総売上は9500万㌦に達した。

ところでABCでは引き続き同番組へのソーシャル・メディアの取り込みを積極的に展開した。今回も女性司会者が番組中に会場の最前列に座った候補者とスマホで撮影した写真をツイッター上で配信すると、リツイート(友人へ転送)数が290万件を超え過去最高を記録する人気ぶり。一時、サイトがクラッシュ(接続不能)する事態も発生した。また今回、米国内ニューヨークやロサンゼルスなど8市場に限定されたものの、アカデミー賞史上初めて同受賞式の模様がインターネット上でもサイマル放送され話題を呼んだ。しかし、利用者が殺到したため、サイトへのアクセスができなくなるなど、ABCにとって人気ライブ・イベントのネット配信に技術的な課題を残す結果となった。

 ABC1976年からアカデミー賞を独占中継しているが、3年前に契約を更改し、少なくとも2020年までの放映権を保有している。

 ちなみに、アカデミー賞最高の栄誉と目されている作品賞には米国の黒人奴隷生活を描いた『12 Years a Slave (それでも夜は明ける:邦題)』が、主演男優賞には『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒーさんが、主演女優賞には『ブルー・ジャスミン』のケイト・ブランシェットさんが選ばれた。長編アニメ部門にノミネートされえた宮崎駿監督の『風たちぬ』など日本人がかかわった3作品はいずれも受賞を逃した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>