全米大学体育協会(NCAA)主催のバスケットボール競技決勝ラウンドが始まった。同ラウンドは全米の大学から1部リーグにランクされた68チームが全米チャンピオンシップを目指し競うプレーオフだ。毎年3月中旬から21日間65試合にわたる熱戦が繰り広げられ、地元ファンや全米に散らばった卒業生などがブラウン管にくぎ付けになる。日本の「夏の甲子園」のように、全米が熱狂することから「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」と呼ばれている。
そのマーチ・マッドネス、米地上波テレビCBSネットワークとタイムワーナー傘下のケーブル局グループ(ターナー・ブロードキャスティング)が全試合を数週間にわたって全米向けに独占放送する。学生スポーツながらも同中継番組への広告出稿量が米プロフットボール・リーグ(NFL)や米プロバスケットボール協会(NBA主催のプレーオフ中継番組を上回っていることがこのほど判明した。
米調査会社キャンター・メディアによれば、マーチ・マッドネスに対する広告支出額は、2004年の4億5400万㌦から年々上昇。13年は前年比3.8%増となる11億5000万㌦に達したことが分かった。人気抜群のNFLやファン層の厚いNBAのプレーオフシーズン中の出稿量を上回り、あらゆるスポーツ・イベントのポスト・シーズンの中で、最も高額の広告費(総額)が投入されるスポーツ・イベントとなった。
ちなみに、13年1月から2月13日に行われたNFLのプレーオフ戦に出稿された広告費は11億100万㌦、同4月から6月13日に繰り広げられたNBAプレーオフ戦は9億2900万㌦、大リーグプレーオフ戦(9月-10月13日)は5億9200万㌦、米アイスホッケー・リーグ(NHL)プレーオフ(4月-6月13日)1億2400万㌦などとなっている。なお、マーチ・マッドネスが65試合にわたるのに対しNFLプレーオフ戦は11試合なので、1試合あたりの広告支出額はNFLゲームが勝っている。
ところで、マーチ・マッドネスは長年にわたりCBSネットワークが独占放送してきたが、放映権料の沸騰に独占を断念。新契約ではCBSとターナーが折半する形でNCAAと11年から24年にわたる長期契約を締結した。契約金総額は推定108億㌦。16年以降はチャンピオンシップ戦をターナーがCBSと交互に放送する。超人気スポーツ決勝戦をケーブル局が放送するのは初めてのケース。ケーブル局の台頭を示す例としても注目されている。