ソーシャルメディアの一つ、ツイーッターがテレビ視聴に与える影響の輪郭が見えてきた。地上波テレビFoxネットワーク、ツイッター、広告市場調査にあたる非営利組織アドバタイジング・リサーチ・ファンデーション(ARF)がこのほど実施した合同調査によれば、ツイッターで話題になった番組は、他のツイッター利用者がその番組を即チェックするなど放送事業者にとって番組人気を高める強力な助っ人になっていることが浮き彫りになった。
ツイッターで知った番組を、「すぐに見てみる」「すぐに探してみる」「(ハイライト版などを含む)番組情報をリツイート(友人に転送)する」と答えた人を合わせると全体の92%にも上るという。Foxのマーケット調査部門のジュディット・ナジ副社長は、メディア・サイト「メディア・ライフ」とのインタビューの中で、「あまりの数字の高さに驚かされた」と感想を述べている。また、ナジ氏は、ツイッターで会話の対象になった番組を、「後で見た」(42%)、「途中でチャンネルを変えて見てみた」(33%)、「インターネット上で検索し見た」(38%)などと答えている人が多いことにも注目している。
米放送事業者の間ではツイッターなどソーシャルメディアを番組の中に積極的に取り込む努力を続けており、今回の調査結果はそれに報いるものとなったとも言えそうだ。Foxでは同ネットワークの長寿番組「アメリカン・アイドル」(オーディション番組)の放送中に、チャレンジャーに対する審判の判定を支持するかどうかなどをツイッターで視聴者に呼びかけるコーナーがあり、視聴者が番組との一体感を感じるようインタラクティブ性に役立たせている。
かつて番組の話題などは会社の食堂などにおける“井戸端会議で”というのが常識だったが、いまやその井戸端会議の場がソーシャルメディアに移っているのが現状。ネットワークテレビ関係者などにとってソーシャルメディア上に展開される会話が、新番組開発の重要な参考意見としても利用され始めている。
さらに、ツイッター利用者の間では、番組中のCM(コマーシャル)を覚えている人が多いほか、好感をもって見ている人が多いことも判明。ツイッター利用者などのつぶやきに広告主も目が離せなくなっている。
ニールセン社によれば、米国内で13年、テレビ番組に関するツイート数は9億9000万件に上った。