30年間にわたり米地上波テレビネットワークの深夜トーク番組司会者を務めているディビッド・レターマン氏(66)が来シーズンをもって引退することになった。NBCネットワーク『ザ・トゥナイト・ショー』の司会者を9年間務めたあとCBSネットワークに移籍。その後21年間にわたり『レイト・ショー・ウィズ・ディビッド・レターマン』の司会者を務めてきた。4月上旬、番組収録中にレターマン氏が引退を決意した経緯などを面白おかしく説明した約10分間にわたる引退モノローグが終わると、スタジオに詰めかけた観客全員がスタンディング・オベーションをおくっていた。引退発表は米報道機関が一斉に報じた。
CBSの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏は、「レターマン氏は21年間にわたりCBSの深夜枠を、独特のユーモアと切り口で際立たせてきた」と称賛を送った。ムンベス氏はかねてから、「レターマン氏は米テレビ界のレジェンド。レジェンドを解雇することはあり得ない」と述べており、ネットワーク側からの引退圧力はなかった模様だ。
深夜トーク番組(週日23:30時)は、1940年代から続く米テレビ界を代表する超長寿番組。ドラマやコメディー番組などと並んで揺るぎないジャンルを築いている。司会者にはコメディアンが起用され、マイクロフォンが置かれたデスクに座り、その日の出来事や話題などに面白おかしく、時には辛辣に論評を加えるのが定番。有名人とのインタビュー・コーナーもあり、歴代の大統領が必ず出演することでも知られる。「アメリカ人がいつも寝不足なのは、深夜トーク番組があるから」などと言われ、米文化の一部となってきたと言っても過言ではない。
レイト・ショーのライバル、『ザ・トゥナイト・ショー ・ウィズ・ジェイ・レノー』(NBC)の司会者ジェイ・レノー氏も今年2月に降板したばかり。後任には39歳のジミー・ファロン氏が抜擢されたが、後発のABCネットワークも同様な番組に46歳のジミー・キメル氏を起用しており、3大ネットワークがそろって世代交代することになりそうだ。
レイト・ショーはかつてCBSにとって低予算・高収入をもたらす重要な番組だったが、最近は減収傾向が続いていた。専門誌アドバタイジング・エイジによれば、同番組の広告売上高は13年の1億8000万㌦から今年は1億㌦ほどに減収する見込み。平均視聴者数は約270万人に留まっている。