
米CATV(ケーブルテレビ)最大手でメディア・娯楽企業でもあるコムキャストはこのほど2014年1-3月期の決算を発表したが、テレビ部門や基幹ビジネスであるペイテレビ事業が好調で、純利益は前年同期比30%増となる18億7000万㌦、売上高は同13.7%増の174億1000万㌦と大方の予想を上回る増収増益を記録した。
傘下の中で特に貢献したのがメディア・娯楽部門であるNBCユニバーサル(NBCU)。同期中に開催されたソチ五輪の独占放送が11億㌦の収入をもたらしたおかげで、NBCUの売上高は前年同期比28.8%増となる69億㌦と絶好調だった。NBCU傘下の放送部門の中で、これまでになく好調だったのが地上波テレビNBCネットワーク。五輪放送の効果も大きかったが、プライムタイム番組人気が定着し、売上高は前年同期比一挙に72.8%増となる26億㌦に達し、ケーブル局部門を上回った。
ケーブル局部門は、オリジナル番組の制作費がかさんだが五輪放送を分担したこともあり、各チャンネル高視聴率をキープ。全体の売上高は同12.6%増の25億㌦だった。

放送部門のほか、映画部門もコメディー映画『ライド・アロング』やアカデミー賞候補にもなった『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が大ヒットしたおかで売上高は同11.1%増となる14億㌦と貢献。テーマパーク部門(ユニバーサウル・スタジオ)も売上高5.4%増4億8700万㌦と好調だった。
CATV部門をみると、ブロードバンド通信サービスがもたらす収入が前年同期比9%増と相変わらず好調だったことなどが寄与し、売上高は前年同期比5.3%増となる108億㌦に達した。中でも特筆すべきは同期に映像配信・再送信サービスの新規加入者24000人を獲得したことだ。米ペイテレビ業界(CATV、衛星放送、電話会社)では映像配信・再送信サービス加入者の離反傾向が顕著で、その中でプラスに転じた稀な例として注目を集めている。コムキャストでは過去6年半にわたり同サービスの解約数が新規加入数を上回る傾向が続いていた。
全米1位のCATVコムキャストは今年2月、第2位のタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)を約450億㌦という巨額買収計画を発表しているが、今回の決算報告を消費者に支持される優良サービスを提供した結果として捉え、買収実現への好材料となると見る向きも多いようだ。同買収計画は独占禁止法に触れる可能性があり、米連邦通信委員会(FCC)など政府監督機関から厳しい審査を受けると見られている。