
米娯楽・メディア企業大手「21世紀フォックス」の2014年1-3月期決算は、主に傘下の地上波テレビFoxネットワークが2月に放送した米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦『スーパーボウル』の広告収入などが寄与し、売上高は前年同期比約12%増となる82億2000万㌦となった。純利益は前年同期に計上された一時的な買収関連益がなくなり、前年同期の29億㌦から大きく落ち込む10億5000万㌦だった。
Foxネットワークを含むテレビジョン部門は長年にわたり同社の看板番組だったオーディション番組『アメリカン・アイドル』が引き続き不調でプライムタイム番組の広告収入が大幅に減少した。だが、平均視聴者数1億1220万人と米テレビ史上最高記録を樹立したスーパーボウルの広告売上高が3億5000万㌦(ウォールストリート・ジャーナル紙)と大きく貢献したおかげで、同部門全体の売上高は前年同期比約27%増となる15億8700万㌦となった。
相変わらず好調だったのがグループの主力となっているケーブル局群。若者向けチャンネルFXやニュース専門局Foxニュース・チャンネルなどが人気で、同部門の売上高は11%強増となる31億5200万㌦に達した。映画部門はヒット作に恵まれず売上高は2.9%減の22億7900万㌦。スカイ・イタリアなどを傘下に置く衛星放送部門はスカイ・イタリアが放送したソチ五輪放映権などが負担となり純利益は36%減に終わったが売上高は16%増15億3000万㌦だった。

一方、「アメリカで一番見られているネットワーク」をアピールする地上波テレビCBSネットワークを傘下に置くCBSコーポレーションの同期決算は、前年同期に大きく貢献したスーパーボウル中継番組がなかったことが響き、売上高は前年同期比4%減となる38億6000万㌦だった。CBSネットワーク依存型のもろさが表れた。
ただ、シンジケーションや海外市場などへの番組販売が好調だったこと、ペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収する配信料収入などが好調で、純利益は5.6%増となる4億6800万㌦となった。
CBSネットワークを中心としたエンターテイメント部門の売上高は約9%減となる23億300万㌦。ローカル局群の売上高も約2%減の6億2600万㌦と振るわなかった。
プリミアム・チャンネルとよばれる有料チャンネル「ショー・タイム」などを配下に置くケーブル・ネットワーク部門は視聴率が好調で、売上高は12.3%増となる5億3700万㌦だった。