米TV新シーズン、ドラマ番組強化

9月から始まる米テレビ新シーズン(201415年シーズン)のプライムタイム(午後811時)編成発表と同枠の番組で放送されるCM予約販売交渉が5月中旬から順次始まった。地上波テレビ4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)の編成内容を見ると、コメディー番組が減退したほか、各社、一世を風靡したオーディション番組人気の衰退を受け、大型ドラマ番組の投入が見立っている。

今シーズン、最も重要な視聴層(1849歳)で約10年ぶりに視聴率ナンバーワンの座を奪還したNBCは、ヒット作となったジェームズ・スペイダー主役のサスペンス・ドラマ『The Blacklist(ブラックリスト)』に続けとばかりに重厚な新作ドラマを多数投入する。これまで米プロフットボール・リーグ(NFL)主催の試合中継番組『サンデーナイト・フットボール』とオーディション番組『ヴォイス』の人気に依存過多だったプライムタイム編成からの脱却を目指し、視聴率王の座を死守したい考えだ。

一方、世帯視聴率競争では首位の座を守ることになったCBSは、木曜夜にNFL試合中継番組『サースデーナイト・フットボール(TNF)』を獲得。同夜の看板番組で米テレビ界を代表するコメディー番組になっている『ビッグバンセオリー/ギークなボクらの恋愛放送(邦題)』を月曜夜に移動させるなど、TNFを軸にした編成となりそうだ。

過去数年に渡り米テレビ界をリードしてきたオーディション番組『アメリカン・アイドル』が不振のFoxは、新番組12本と4大ネットワーク中最大規模となる編成替えだ。同社は、“コメディー・ナイト”と位置付け05年来アニメ番組のみで編成してきた日曜夜に一部、「ライブ・アクション・コメディー」をデビューさせる思い切った改革も試みる。そして、月曜夜には大型番組、バットマンのスピンオフ・ドラマ『Gotham(ゴッサム)』が登場、社運をかける意気込みだ。

“アメリカ人の顔が変わっている”(編成責任者)を意識しているのがABC。マイノリティ・グループが拡大している米人口構成を踏まえ、アジア系やヒスパニック系(中南米出身でスペイン語を母国語とするグループ)の出演者を主役にした番組を積極的に編成する。また、木曜プライムタイムのすべての番組を、著名脚本家・プロデューサーであるションダ・ライム氏が手掛ける3番組で編成する思い切った戦略をとる。

CM予約販売交渉は、12ヵ月かかるのが通例だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>