米国におけるインターネット広告費が2018年までに、わずかながらもテレビ広告を追い抜くとの予報(米ネット調査会社イーマーケター)が3月に発表されたばかりだが、今度は13年にネット広告が地上波テレビ放送向けの広告費を追い抜いていたとの報告が出た。
インターネット広告協会(IAB)とコンサルティング会社大手「プライスウォータークーパーズ」がこのほど発表した共同調査結果によると、米国における13年ネット広告費は前年比17%増え、428億㌦に達した。これまでの最高記録となったばかりか地上波テレビの401億㌦を超えたことが明らかになった。米テレビ史上初めてのことだ。ちなみに、ケーブル局の広告費は2年前にネット広告費に追い抜かれている。
ただ、地上波テレビとケーブル局を合わせたテレビ全体の広告費を合わせれば745億㌦になり、テレビが引き続き広告媒体の王座を守っている。
ネット広告の躍進についてIABの最高経営責任者(CEO)ランドル・ローゼンバーグ氏は、「様々なデジタル・ディバイスの画面が米消費者の間に深く浸透し、しっかり心を掴んでいることの証だ」と分析している。
ネット広告の中でも著しい成長を示しているのがモバイル広告。米消費者がスマートフォン(多機能携帯電話)やアップル社製アイパッドなどに代表されるタブレット型情報端末からなるモバイル・ディバイスを利用する時間が急伸しているためだが、IABによれば、13年のモバイル広告費は前年比110%増となる71億㌦に達した。いまやネット広告のシェア17%を占めるまでになっている。そして、モバイル広告と並んで急増しているのがデジタル・ビデオ広告。ネット上に配信されるテレビ番組などの動画に挿入されるテレビCM型の広告で、13年の同広告費は前年比19%増となる28億㌦だった。
ところで、世界屈指の広告会社ピュブリシス・グループ傘下の代理店「ゼニス・オプティメディア」は今年の米広告費が4.9%と穏やかな伸びを示し、1755億2500万㌦に達すると予測している。同社の予測でもインターネットが昨年比18.4%増となる429億7000万㌦に達する勢いで、全媒体中二桁台の成長を見せる唯一の媒体だ。同社によればテレビ広告費は同4.5%増となり672億1600万㌦。ラジオは1.9%増173億9300万㌦。4媒体中、減収となる媒体は新聞(同8%減、211億3900万㌦)と雑誌(1.1%減、177億4400万㌦)の2媒体。引き続き活字媒体不振が続きそうだ。