米調査会社comScore(コムスコア)によれば、昨年12月、米国内で1億8820万人の人がインターネット上で見た動画の数は524億件。動画視聴人気はうなぎのぼりだ。しかし、番組などをテレビ受像機で視聴する“テレビ派”は相変わらず圧倒的多数を占めていることが明らかになった。放送機器用のソフトウエアなどを提供する「BroadStream Solution(ブロードストリーム・ソルーション)」社がこのほど発表した調査結果によれば、米成人の8割強が、「番組は放送時にテレビで見る」と答えており、多機能携帯電話(スマートフォン)やタブレット型多機能携帯端末など、いわゆるデジタル・ディバイスの画面で番組を楽しむ人の数を大幅に上回っている。
同調査によれば、タブレットで番組を視聴したいと考える人は全体の2%、スマホも2%、デスクトップ型のコンピューター4%、ラップトップ型コンピューターは7%に留まっており、テレビを大きく下回っていることが分かった。ブロードストリーム・ストリーム社の最高経営責任者(CEO)、マニシュ・サクデバ氏は、「様々なデジタル・ディバイスが普及し、数多くのネット配信サービスが出回っていて、米消費者が思い思いの方法や場所で番組視聴ができる環境が整っている。しかし、“居間の主役はテレビ”という慣習はいまだに根強いものがある」と分析している。
同調査では、2013年において、CATV(ケーブルテレビ)事業者が提供するオンデマンド視聴を利用した人は全体の26%、Netflix(ネットフリック)に代表されるインターネット配信サービスを利用した番組のオンデマンド視聴は34%、テレビで動画再生できる端末(アップルTV他)を使った「インターネット・テレビ」視聴はわずか9%にとどまっていることも分かった。
また、デジタル・ディバイスの普及で視聴方法が多様したにも関わらず、「テレビをつけて番組を見る」人の数は82%にも上り、10年前の81%とほとんど変わっていないことも浮き彫りになった。
そして、こうした傾向は世界市場でも同様なことが発表された。広告市場の調査などにあたる仏調査会社「Ipson OTX」が20ヵ国15000人以上を対象に実施した調査では、「番組は生でテレビで見る」と答えた人が86%にも上った。ただ、同社ではテレビ以外の番組視聴数は特に若者層で確実に増えていることを指摘している。インターネットを利用した番組視聴は35歳以下では20%に上ったという。