米ネットワークTVアップフロント売上が低調

米テレビ新シーズン(201415年シーズン)は9月から始まるが、プライムタイム(午後811時)で放送されるCM予約販売交渉が行われる「アップフロント」が完了した地上波テレビ4大ネットワーク全体では昨年の売上を23%下回る(ウォールストリート・ジャーナル紙推定)低調な結果に終わった模様だ。NBC ネットワークを除くすべての社が前年を下回る売上となったという。ここ23年、決定的なヒット番組を生み出せないでいるネットワークテレビを広告主が冷ややかに見ている証とも言えそうだ。広告予算を相変わらず元気なケーブル局やインターネットに振り向ける動きも明確になってきている。

4大ネットワークを個別に見ると、前年を上回る唯一のネットワークとなったNBCの売上高は前年比12%増となる推定252000万㌦。毎週日曜日に放送するNFL(米プロフットボール・リーグ)主催の試合中継番組『サンデーナイト・フットボール』が揺るぎない人気を集めているほか、オーディション番組『ヴォイス』が堅調なことと、同ネットワークにとって久方ぶりのヒット作となった大型サスペンスドラマ『ザ・ブラックリスト』が大きく貢献した。ちなみに、同社は来年2月に開催されるNFL王者決定戦『スーパーボウル』の放映権を握っているが、同番組のCM売上は含まれていない。

NBCに次いだのがCBSネットワーク。売上高は225000万㌦-275000万㌦と、昨シーズンの25億㌦-275000万㌦を下回る見込みだ。ただ、今季、放映権を獲得し、新編成の目玉となることが間違いないNFL中継番組『サースデーナイト・フットボール』のCM売上は含まれておらず、最終的には昨シーズンを上回るとの見方もある。

高い評価を受けながらも視聴率につながらないプライムタイム番組編成に悩むABCの売上高は、前回比510%減となる18億㌦-21億㌦になる模様。かつて、米テレビ界を代表するメガヒット番組だった『アメリカン・アイドル』(オーディション番組)の人気減退以降、全体に活力を失ったFoxネットワークの売上高は前年比1015%の落ち込みが見込まれ1516億㌦と推定されている。ちなみに、Foxのプライムタイムは他社に比べて1時間短い午後10時までに設定されている。

例年アップフロントではCM枠全体の7580%が取引され、残りについてはシーズン直前や冒頭に行われるる“スキャター”と呼ばれる交渉で取引される。

<テレビ朝日アメリカ 北清>