サッカーの第20回ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の決勝戦が7月13日、リオデジャネイロのマラカナン競技場で開催され、ドイツが延長戦の末、1対0でアルゼンチンに勝利した。決勝戦の模様は、米国でも生中継され英語放送とスペイン語放送を合わせ約2650万人が視聴した。米国内では英語放送の独占放送権を握るウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局「ESPN」と地上波テレビ「ABCネットワーク」が、スペイン語放送では同独占放送権を保有する「ユニビジョン」が大会中のすべての試合を生中継した。
決勝戦は米国チームが関わらなかったものの、ABC/ESPNが平均視聴者数1730万人を獲得、前回2010年南アフリカ大会時の1550万人を優に超え、W杯男子決勝戦では過去最高の記録となった。大会を通したABC/ESPNの視聴者数は前大会比39%も増えたことが報じられている。
ユニビジョンの決勝戦視聴者数は同じく過去最高の920万人だった。
また、大会中日曜日(6/22)に行われた米国対ポルトガル戦のABC/ESPNの視聴者数は1820万人に達し、米国で放送されたサッカー試合番組では歴代1位の記録となった。ちなみに、それまでの最高視聴者数は1999年のFIFA女子W杯(米国対中国)時の1798万人だった。
米国でのサッカー人気は4大スポーツ(アメリカン・フットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケー)に比べ影が薄いと言われ続けてきたが、今大会ではサッカー熱が一挙に盛り上がった感がある。
にわかに起こったサッカー・フィーバーに広告主も驚きをもって捉えている様子。W杯スポンサーの最高レベルとされる“パートナー”には、クレジットカード大手VISAをはじめ、スポーツ用品メーカー、アディダス、コカ・コーラ、ソニー、韓国の現代自動車などが名乗りを上げたが、いずれも予想以上のW杯人気にうれしい悲鳴を上げた。VISAの海外市場担当上級副社長リカード・フォート氏はニューヨークタイムズ紙とのインタビューで、「米国のファンがこれほどまでにW杯に興味を示すとは誰もが予想しなかった。信じられないことだ」と率直な感想をもらしている。同社ではあまりの反響に、米国戦の中継番組のCM出稿量を急きょ増やしたほどだったという。
ニューヨークタイムズ紙は、今回の熱狂ぶりを受けて、サッカーがようやくプロフットボール王者決定戦スーパーボウルや五輪につぐ“ビッグ・イベント”になったのではないか、と分析している。