ABCニュースのアンカーが交代

米地上波テレビ3大ネットワークの一つ、ABCの報道部門ABCニュースはこのほど、毎日夕方全国向けに放送をしているニュース番組『ワールドニュース・ウィズ・ダイアン・ソイヤー』のメイン・キャスター、ダイアン・ソイヤー氏(68)が8月いっぱいで降板することを発表した。後任は同番組の週末版などを担当しているディビッド・ミュアー氏(40)。3大ネットワークの看板番組で、報道番組の最高峰に位置づけられている全国向け夕方ニュースのアンカーといわれるメイン・キャスターの中で現在唯一の女性アンカーだったソイヤー氏が退くことになる。ソイヤー氏は今後、特別インタビューなどを担当する。

『ワールドニュース』は、ここ数年視聴率ナンバーワンの座についているNBCネットワークの『ナイトリー・ニュース・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ』から王冠を奪還することが至上命令。ソイヤー氏はつい5月、広告主が報道・情報番組視聴者の中でターゲットにしている2554歳層で視聴率トップの座を獲得したばかり。7年ぶりの偉業にソイヤーさんの今後の活躍ぶりに期待が寄せられていた矢先だった。

世帯視聴者数ではワールド・ニュースに負けたことのないナイトリー・ニュースの視聴者はワールド・ニュースよりも若いとされており、ABCは若手アンカー氏を投入、一気に両カテゴリーの首位につきたい考えだ。各番組の視聴者数は、トップのナイトリー・ニュースが毎晩平均843万人。これにワールド・ニュースの767万人。ここのところ万年最下位に甘んじているCBSネットワークの『イブニングニュース・ウィズ・スコット・ペリー)』647万人(5月)と続いている。

ところで、今回の交代劇について米報道の中には、「ABCニュースは夕方のニュースから朝の報道・情報番組に軸足を移したことを暗示している」などとする見方が出ている。ニューヨーク・タイムズ紙は、夕方ニュースのアンカー交代と同時に毎朝放送している報道・情報番組『Good Morning America』のアンカーを務めているジョージ・ステファノポリス氏がABCニュースのチーフ・アンカーに昇格したことに注目。ステファノポリス氏が大統領選挙や重大事件などが起きた際の特別番組のアンカーを務めることになることから米テレビニュース業界の序列を変えるものだと指摘している。これまでは、夕方ニュース番組のアンカーがネットワークの顔を務めている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>