ネットフリック、2Q決算は増収増益

インターネット上のテレビ番組・映画配信サービス大手米ネットフリックスの201446月期決算は、売上高が前年同期比25%となる13億㌦、純利益は同2倍強増となる7100万㌦となる増収増益を記録した。予想を超える新規加入者数を獲得したことや、今年5月から実施している月額料金の値上げが寄与した。新料金は、月額1㌦の値上げで899㌣。新規加入者のみが対象で、現会員には2年間の猶予が与えられる。

同社によれば、米国内の加入者数が3620万軒に達したほか、海外における加入者も1380万軒となり、初めて5000万の大台に乗ったことを明らかにした。ちなみに、加入者にはDVD郵送レンタル会員も含まれる。

 同期売上の内訳を見ると、米国内のストリーミング配信サービスが79862万㌦、40か国に展開している海外市場における同配信サービスが26712万㌦、米国内DVDレンタルが2435万㌦となっている。DVDレンタルとして出発した同社だが、今やストリーミング配信が売上全体の85%を占めるまでになっている。

 ネットフリック人気は数年前に同社が初の自社制作番組となる米政界スキャンダルを描いたサスペンスドラマ・シリーズ『ハウス・オブ・カード』配信以来増幅した。同番組はインターネットのみに配信される番組としては初めて米テレビ界の最高の栄誉であるエミー賞を獲得。地上波テレビネットワークやHBOなどプレミアム・チャンネルで放送されている高額予算の番組に匹敵するほどの注目を集めた。その後、制作・配信した刑務所を舞台にしたコメディー・シリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』が『ハウス・・・』を上回る人気を博し、いまや米メディア界で注目度ナンバーワンのオンデマンド・サービスに成長している。今年は30億㌦の番組予算を計上している模様だ。

同社では料金値上げ幅が1㌦と負担にならない程度と見ており、今後も加入者数が増えつづけ、79月期には会員数が5374万人に達するとしている。

同社の当面の課題は、飽和状態に近づいている米国市場にかわる海外市場の開拓。今年9月にドイツ、フランス、オーストリア、スイス、ベルギー、ルクセンブルクに進出を決めている。ウォール街には来年以降イタリアとスペインにもサービス拡大に踏み切るとの観測があるが、同社はノーコメントの構え。一連の欧州進出のあとには日本を含むアジア市場を狙っているとの見方もある。

<テレビ朝日アメリカ 北清>