コムキャスト、BB他好調で増収増益

米ケーブルテレビ(CATV)最大手でメディア娯楽大手NBCユニバーサルをも傘下に置くコムキャストがこのほど201446月期の決算を発表した。売上高は基幹ビジネスであるCATV部門のブロードバンド(BB)通信が好調だったこととNBCU傘下の地上波テレビNBCネットワークの高視聴率がもたらした広告収入などが寄与し、昨年同期比3.5%増となる1684000万㌦、純利益は同15%増の199000万㌦を記録した。

部門別に見るとCATVの売上高は前年同期比5.4%増となる110億㌦。相変わらず映像配信サービスが不振だったが、解約数が144,000軒と前年同期の162,000軒を下回ったことと、BB通信が203,000軒の新規加入者を獲得したことが大きく貢献した。2015年末までにBB加入者が映像配信加入者を上回ると見られている。同期におけるそれぞれの加入者数は、映像サービスが2250万軒、BB2130万軒、ケーブル電話は1100万軒だった。

一方、NBCUは、映画部門が不調で全体の足を引っ張ったが、NBCネットワークやテーマパークが順調だったため、売上高は0.3%増となる60億㌦とかろうじて増収となった。相変わらずNBCUの稼ぎ頭はUSAネットワークやブラボーなど人気チャンネルを抱えるケーブル局部門。同部門の売上高は前年同期比2.6%増の25億㌦となった。これに次いだのが地上波テレビ部門。NBCネットワークが好調だったことに加え、ペイテレビ事業者からの再送信料収入が増えたことなどから、売上高は同4.9%増となる18億㌦だった。

不調だったのが映画部門(ユニバーサル映画)。前年同期の『ワイルド・スピード(邦題)』や『怪盗グループのミニオン危機一発(邦題)』に見合うヒット作に恵まれなかったため売上高は前年同期比15.3%減の12億㌦となった。テーマパーク部門(ユニバーサル・スタジオ)はフロリダ州オーランド、カリフォルニア州ハリウッド両地とも同期に春休みが重なったこともあり来場者増となり、売上高は同12.8%増となる615000万㌦を記録した。

ところで、コムキャストは今年2月、CATV全米2位のタイムワーナー・ケーブルを452億㌦で買収する提案を行っているが、同社の最高経営責任者(CEO)ブライラン・ロバーツ氏は同提案にかかわる費用がすでに4400万㌦に達していることを明らかにした。買収案は米政府独禁法当局の厳しい審査を受けることは必至。ウォール街では「最終的には認可されるだろう」「必ずしも認可されないかもしれない」などと見方が分かれている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>