米TW、ケーブル局好調で増収増益

世界のメディア王の異名をとるルパート・マードック氏率いる21世紀フォックス社から800億㌦規模の買収提案を受けていた米娯楽・メディア企業大手タイムワーナー(TW)の201446月期決算は、ケーブル局群の業績が良かったことを受け、純利益は前年同期比10.2%増となる85000万㌦となった。しかし、決算発表前日にフォックス社が買収提案を撤回したため、決算日の株価は下落した。TWは、フォックスの買収提案を敵対的買収と捉え、交渉すら拒否していた。売上高は前年同期比2.7%増の678800万㌦だった。

ニュース専門局CNNや総合編成のTNTなどベーシックチャンネル・グループを傘下に置く「ターナー」部門の売上高は、前年同期比5%増の28億㌦となった。主にTNTが『The Last Ship』や『Murder in the First』などの独自ドラマ番組が好調で、同期プライムタイム視聴率でナンバーワン・チャンネルになったことや、総合編成チャンネルTBSが放送する人気コメディー番組『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則(邦題)』の再放送が人気を博し視聴率3位につけたことなどが寄与した。

米テレビ界の代表的な有料チャンネル「Home Box Office(HBO)」部門は、大型ファンタジー『ゲーム・オブ・スローンズ』が圧倒的な人気を博しているほか、犯罪捜査ドラマ『True Detective』などが好評で加入者が増えており、売上高は同17%増となる14億㌦に達した。ゲーム・オブ・スローンズはかつて同チャンネルの看板番組で米テレビ界を代表する人気番組となった『ソプラノス:哀愁のマフィア(邦題)』を凌ぐ人気番組になっている。

映画やテレビ番組制作にあたる「ワーナー・ブラザース(WB)」部門は、映画部門が昨年同期に封切られヒット作となったスーパーマン・シリーズ『Man of Steel(マン・オブ・スティール)』に見合う新作がなく低調だったものの、『ホビット 竜に襲われた王国』のDVD販売が順調だったことや、テレビ番組販売が好調だったことなどから売上高は2.4%増となる29億㌦となった。WBは業界一のテレビ番組制作会社でもある。

TWは企業名の一部になっている大規模出版部門「タイム・インク」を今年6月に分離したばかり。テレビ部門と映画部門に特化したメディア企業として再出発している。 TWの最高経営責任者ジェフリー・ビューケス氏は決算発表に際し、「焦点を絞り込む経営が可能になり、株主価値のさらなる向上を図ることが出来る」と、述べた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>