NBA、倍額の放映権を要求か

米プロバスケットボール協会(NBA)がテレビ局との間の新契約更新に際し現行放映権料の倍額を要求する方針が明らかになり話題を呼んでいる。 NBAは現在、201516年シーズが最後となる8年契約をウォルト・ディズニー社とタイムワーナー両社と結んでいる。まだ2シーズンが残っているが、業界筋によれば、すでに両社とNBAとの契約更改に関する予備折衝が始まった模様だ。

 

現契約では、ウォルト・ディズニーがNBAに対し、年間48500万㌦の放映権料を、タイムワーナーは同44500万㌦を支払っているとされているが、交渉関係筋がウォールストリート・ジャーナル紙に語ったところによれば、NBAは一挙に2倍の権料を両社に求めているという。新契約が8年間となれば、総額約150億㌦がNBAに転がり込んでくる勘定だ。

 

  現在、レギュラー・シーズンはディズニー傘下のスポーツ専門ケーブル局「ESPN」とタイムワーナー傘下の総合編成ケーブル局「TNT」が放送。決勝ラウンドはディズニー傘下の地上波テレビABCネットワークが独占放送しているが、タイムワーナーが決勝ラウンドの放映権を強く求めている模様で、NBA側は同ラウンドの放送をABCTNTが交互に放送する案を模索中だという。ただ、現契約では決勝ラウンドの独占放映権をディズニーが優先的に握っており、NBATNTとの交渉が可能になるのはディズニーとの交渉が決裂した場合に限られる。

 

スポーツ・イベントは放送事業者が喉から手が出るほど欲しい生番組の中でも別格扱い。人気スポーツ・イベントの中継権を握る放送局は、ペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)との配信・再送信料交渉で有利な立場に立てるほか、昨今米視聴者の間で盛んになっているタイムシフト視聴されにくい番組ということで広告主がスポンサーになりたい番組の筆頭格に挙げられている。ちなみに、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)などを使った追っかけ視聴はCMの飛ばし視聴が可能とあって広告主からは敬遠されているのが現状だ。

スポーツ物件の高額放映権は各放送事業者にとって大きな負担になってきているが、高額広告収入につながる若者視聴者を獲得するためには必須の番組。最終的には両社がNBAの要求を飲まざるを得ないのではないかという見方が多い。

今年5月にABCが放送したNBA決勝ラウンド(5試合で完結)の平均視聴者数は1550万人。プライムタイムで他社を寄せ付けない人気を博した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>