バイアコム、ソニー番組配信と提携

ソニーと米メディア娯楽企業大手バイアコムはこのほど、ソニーが年内立ち上げを目指すインターネット上のテレビ番組配信サービス向けにバイコム傘下のケーブル・チャンネル群を提供することで両社が合意したと発表した。バイアコムは若者に人気のケーブル局「MTV」や「コメディー・セントラル」さらには子ど向け専門局の老舗「ニコロデオン」などに加え映画会社大手「パラマウント・ピクチャーズ」を傘下に置くが、今回の提携では22に上るケーブル局を配信することになった。急速に拡大するデジタル視聴人気やペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)との解約傾向が新サービスを後押しした格好だ。バイアコムを始め、新たな放送外収入を模索するコンテンツ・プロバイダーにとっても魅力的なサービスとなりそうだ。ちなみに、バイコムがネット配信サービスに対し自社ケーブル局を開放するのは初めて。

ソニーは、バイアコムの他にも、ニュース専門局CNNなどを傘下に置くメディア企業タイムワーナーやドキュメンタリー専門局などを抱えるディスカバリー・コミュニケーションズ、さらには映画やドラマ専門の有料チャンネルStarz(スターズ)などとも提携を模索している模様。

今回の発表を受け、「既存のペイテレビに加入しテレビを視聴している米消費者にとって、テレビの視聴方法の選択肢が増えることになる」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「待たれていたネット上のテレビ番組配信の革新が現実のものに近づいてきた」(ウォールストリート・ジャーナル紙)などと好意的かつ期待を込めた受け止め方が目立つ。

ソニーは、自社のビデオゲーム機「プレイステーション」やインターネット接続が可能なテレビなどを保有する7500万世帯を中心に、番組をリアルタイムで視聴できるストリーミング・サービス及び好きな番組を好きな時に視聴できるオンデマンド・サービスを展開したいとしている。ただ、ソニー以外の機器でもアクセスが可能なのかどうか、モバイルディバイスを使った外出先からの視聴が可能かどうかなど、具体的なサービス内容については現時点では公開されていない。加入料については月額1530㌦になるとの観測も出ている。ちなみに、ペイテレビの月額料金は全国平均88.67㌦(SNLファイナンシャル調べ)、内容次第ではあるが消費者の間で格安感が広がる料金設定が成功への条件となりそうだ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>