米国でスマートフォンやタブレット型情報端末を使った映像視聴が急増している。米ニールセン社がこのほど発表した米消費者による様々なプラットフォームを使ったビデオ視聴を分析した「2014年4-6月期クロス・プラットフォーム・リポート」で明になった。同期における18-34歳層の一日当たりのテレビ視聴時間は4時間17分と前年同期比2%の減少となったが、インターネット上で配信されるテレビ番組などのデジタル視聴は同53%増となる35分となった。そのほか、35-49歳層でが同80%増となる26分、50-64歳層も60%増となる19分とそれぞれ急増していることが明らかになった。
同調査を担当したニールセンのインサイト部門担当ドゥーニア・タリル上級副社長は、「ビデオ・コンテンツ(番組)視聴方法の多様化がこれまでになく進んでいる。それによって映像視聴時間が大幅に増えていることが特徴だ」と述べている。要因としては、パソコンやモバイル・ディバイスと呼ばれるスマホやタブレットなどを使った映像視聴人気を挙げている。テレビ以外に番組などを視聴する手段が格段に増えたことで、「自分の好きな番組を好きな時に好きな手段で見たい」と考える消費者のニーズに応える環境が整い始めていることが大きいという。同社によれば、米国におけるスマホの普及率は72%、タブレットは39%に達した。
また、同報告では高齢層のデジタル視聴が拡大(60%増)していることも顕著になった。タリル氏は、デジタル視聴が、もはや若者層だけに限られた話ではないことを強調している。
そして、高齢層のデジタル視聴拡大を裏付けるような調査報告も出ている。米調査会社「ピュー・リサーチ・センター」によれば、65歳以上の米消費者でインターネットを利用していると答えた人が同グループ全体の53%と、過半数を超えたことが分かった。大台を超えたのはピュー社が追跡調査を始めた2000年以来初めてのこと。ちなみに2000年当時は同層のネット利用者はわずか13%だった。
ただ、77歳以上になるとネット利用者の数が約3割に激減することに懸念が寄せられている。高齢者がよりどころにしてきた、「イエローページ(電話帳)」やローカル紙が廃刊となり、これらのサービスがインターネットに移行する動きが加速するなか、特に同層の低額所得者らに対しネットへのアクセスを確保することが社会的にも今後の課題となりそうだ。