米インターネット広告費が2017年にテレビ広告を追い越す見込みだ。広告大手インターパブリック社傘下の調査会社「Magna Global(マグナ・ブローバル)」がこのほど発表した広告費の見通しの中で発表したもの。今夏、別の調査会社「eMarketer(イーマーケッター)」が18年までにテレビ広告がネット広告に追い抜かれるとの予測を発表していたが、これを1年前倒しにするものだ。
マグナによれば、米国の2015年総広告費は前年比2.7%増1695億㌦と緩やかな上昇に留まる。テレビ広告は同1.4%減少となり、全体が「凡庸な成長」(広告業界誌アドバタイジング・エイジ)となりそうだ。だが、ネット広告は15.5%増と対照的な展開、米広告費に占めるネット広告の割合は31%になる模様。
一方、マグナは世界の総広告費は前年比4.8%増5360億㌦になると予測している。同社が今年6月に発表した4.9%から若干下方修正されている。別な調査会社「ZenithOptimedia(ゼニス・オプティメディア)」の予測も同4.9%増の5450億㌦で、マグナとほぼ同様な数値となっている。
そして、世界でもネット広告の勢いは目を見張るものがありそうだ。ソーシャル・メディア人気やスマートフォンを中心にしたモバイル・ディバイスの普及が後押しし、今年はすでに前年比17%増1420億㌦と躍進したが、来年も15%の成長を示すという。米国外では、例えば英国のように、すでにネット広告がテレビ広告を追い抜いた国が現れているという。
一方、ネットとテレビ広告による熾烈な戦いの余波を受けているのが新聞や雑誌向け広告。今年の新聞広告は前年比4.3%減。雑誌が7.3%減少する見込みだ。
来年の広告費を国別で見ると、当初の予想を上回る成長率を示しそうなのが、オーストラリア、インド、日本、スペイン、英国。逆に失速しそうなのが、中国、ロシア、ドイツ、ブラジル、カナダ、などとなっている。
イーマーケッターによれば、2015年の広告支出額トップとなるのが米国。総広告費は1891億㌦に達するとしている。これに、中国が731億㌦で2位。日本が402億㌦で3位、ドイツが277億㌦で4位、英国が252億㌦で5位と続いている。ただ、今後ブラジルが急成長すると見ており、18年にはドイツと英国を追い抜きそうだ。
また、同社は世界のモバイル広告が著しく拡大すると見ている。ネット広告に占めるモバイル広告は17年には50%を超える見込みだ。ちなみに、ネット広告が全体に占めるシェアは同年33.5%に到達する見込み。