テレビ番組や映画などの米ストリーミング配信最大手「Netflix(ネットフリックス)」の勢いが止まらない。同社がこのほど発表した2014年10-12月期決算報告によれば、同期売上高は前年同期比26%増となる14億8000万㌦。純利益は税制優遇を受けたこともあって昨年同期比の3780万㌦から一挙に8340万㌦となった。
米国内加入者数は前年同期比190万人増となる3910万人。海外の加入者数は同240万人増の1830万人を記録。同期の新規加入者数は国内外合わせて430万人と、市場の予測400万人を軽くクリアー。投資家の間に歓迎ムードが広がり、発表直後の同社株価は16%も上昇した。
国内加入数9000万人を最終目標に掲げるネットフリックだが、すでに米国内市場を見越して海外への展開を経営戦略の要に据えている。隣国カナダや中南米、そしてスカンジナビア諸国を手始めに昨年夏にはドイツやフランスなどでサービスを立ち上げ、現在世界50ヵ国でサービスを提供。17年までに200ヵ国へ拡大することを明らかにした。
同社CEO(最高経営責任者)リード・ヘイスティング氏は決算発表に当たり、「クリック一つで好きな番組・映画が見られ、しかもシリーズ全編を一気に見るいわゆる“ビンジ・ウォッチ”を可能にしたことに人々が共鳴している」と強調した。「世界市場でも十分に通用することが分かった」とも述べ、ヘイスティング氏が目標に掲げる売上高100億㌦の達成も夢ではないと考えている模様だ。
ネットフリックは4日、今秋にも日本でのサービを展開することを発表したが、16年には韓国に加え、東欧にも拡大していく予定だ。今年はすでに3月31日にオーストラリアとニュージーランドでサービスを立ち上げることを発表している。
ネットフリックスは、劇場で公開済みの映画や放送後のテレビ番組をネット経由で、しかも月額約8㌦という手軽な定額料金で視聴できることから若者層を中心に受け瞬く間に人気サイトに成長した。最近では大型予算を投じたオリジナル番組が米テレビ界の栄誉「エミー賞」受賞作品に輝くなど実績をあげている他、新番組配信に当たってはシリーズ全編を一挙に公開する手法を採用、番組の新しい視聴方法“ビンジ・ウォッチ”を広めた張本人でもある。昨年は制作費9000万㌦を投じたマルコ・ポーロを描いた大型ドラマが話題を呼んだ。