米スポーツ及びテレビ界の最大イベントで国民的行事となっているNFL(米プロフットボール・リーグ)王座決定戦第49回スーパーボウルが2月1日、アリゾナ州グレンデール市で開催された。アメリカン・カンファレンス(AFC)の覇者ニューイングランド・ペトリオッツとナショナル・カンファレンス(NFC)の勝者シアトル・シーホークスが激突したが、ペトリオッツが接戦を制し、28対24で逆転勝利。10シーズンぶり4度目の優勝を果たした。
試合の模様は米地上波テレビNBCネットワークが米東部時間午後6時30分から3時間半あまりに渡って全国向けに生中継。ニールセン社の速報によれば世帯平均視聴率は49.7%を記録、これまで最高記録だった2年前のものを上回る米テレビ史上最高記録を更新した。シェアは72%、平均視聴者数も歴代最高となる1億1440万人に達した。
昨年の王者シーホークスと名門チームのペトリオッツという好カードに加え、試合が接戦だったこと、またペトリオッツがプレオフ中に空気圧の少ないボールを使っていた疑惑が直前に浮上したことも関心を誘い高視聴率につながったようだ。
ところで、スーパーボウルで放送されるCM(コマーシャル)は、最も高額なことで知られるが、NBCが各スポンサーに提示した額は30秒CM平均440-450万㌦と、昨年度の420万㌦を7%あまり上回った模様だ。NBC調査部門は、スーパーボウルCMが放送時に注目を集めるだけではなく、ソーシャル・メディアや様々な報道機関で大きく取り上げられることなどを鑑みれば実際には814万㌦の価値があると試算している。
天井知らずといえるスーパーボウルCMだが、過去の記録を見るとテレビCMの中で突出した存在であることが分かる。米調査会社キャンター・メディアなどによれば、2005年から14年の10年間に広告主がスーパーボウルCMに費やした額は何と21億9000万㌦。昨年の試合のCM総額は3億3180万㌦と15年当時の2倍強となっている。
スポンサーの顔ぶれを見ると、「費用対効果を考え今回は出稿を見合わせる」と撤退したGM(ゼネラル・モータース)など常連に反し、初めてスーパーボウル・スポンサーになる広告主が目立った年だった。ルーキーのひとつ接着剤メーカーである「ロクタイト」は今回投じたスーパーボウルCM予算が全国向けの年間CMを上回るという。同社関係者は、「全国津々浦々の消費者にリーチできるCMにすべての予算を集約することにした」と語っている。