全米注目のケーリーちゃん事件 裁判詳報⑤

「ケーリーちゃん事件」の公判29日目(6/27)の目玉は「遺体発見1ヶ月前、現場に遺体はなかった?!」です。 


【事件の概要】

 事件の発覚は、20087月。フロリダ州オーランドで当時2歳のケーリー・アンソニーちゃんが行方不明になったというケーリーちゃんの祖母からの通報がきっかけだった。祖母によるとケーリーちゃんの姿が見えなくなったのは通報の1ヶ月前の6月。通報から3ヶ月。検察は、ケーリーちゃんの母親ケーシー被告(25)を殺人罪などで起訴した。2ヵ月後の200812月、ケーリーちゃんの遺体は、自宅近くの森の中から見つかった。検察側の宣誓供述書作成などに時間がかかり、裁判の開始は事件発覚から2年半が経った今年5月までずれ込んでいた。事件がこれまでに大きく報道されたことから、陪審員は別の郡から選ばれた。



<公判28日目 6月25日(土)>
開始早々に裁判官により閉廷が言い渡された。
この日、理由は明らかにされなかった。


<公判29日目 6月27日(月)>
  土曜日の閉廷は、弁護側が「ケーシー被告が公判を続けられる精神状態にあるか疑問である。」との申し出たことが理由であったことが発表された。
  週末に3人の心理学者がケーシー被告の精神鑑定を行い、「続行可能」と判断。 週明けのこの日から公判は再開された。
 この日の証人は、地元警察の捜査官、化学分析の専門家、私立探偵ら。
 
<フロリダ国際大学 化学教授 証言>
・車のトランクで発見されたシミが、遺体が腐敗する際に出る液体であることを証明するのは不可能
・ペーパータオルについていたとされる脂肪酸は、牛乳やチーズ、肉の脂身などにも含まれている
・クロロフォルムは、家庭用の漂白剤などに多く含まれているほか、飲料水、チーズ、ソフトドリンクなどにも微量ながら含まれている。
・車の中で発見されたゴミ袋からこれらの物質が漏れ出てシミを作った可能性もある。
 
  この後の反対尋問中で検察は、トランクから押収されたゴミの匂いを嗅ぐよう、陪審員に要求
⇒ 何人かは嗅ぐのを拒否 

 
<私立探偵①ジェームス・フーバー氏と、私立探偵②ドミニク・ケーシー氏 証言> 
 二人の私立探偵は、被害者の遺体が発見される一ヶ月前の2008年11月に、遺体発見現場の森を捜索。その模様をビデオで録画していた(録画したのはフーバー氏)。
 「実際の遺体発見現場のすぐそばで捜索していた」にも関わらず、遺体を発見することはできなかった。
 ⇒ この時点で森に遺体は無かった?!
 
(弁護側の狙い)

 遺体は、発見される1ヶ月以内に何者かの手で改ざん、移動させられた可能性がある。(2008年11月時点で被告はすでに拘置所にいたため、犯行は不可能)
   ⇒ ケーシー被告が殺害するために被害者の口と鼻を塞いだとされるダクトテープは、実は第三者が被害者の死後に貼ったとも考えられる!


<NY支局 山田久>