<公判31日目(6/29)>
前日に続き、ケーシー被告の父と母、そして第一発見者ロイ・クロンク氏が証言台に立ちました。他には、クロンク氏の息子、捜査関係者、そして心理カウンセラーら。直接審議に関係しないものの、開廷直前にケーシー被告が裁判官の質問に大きな声で応える場面も。公判開始以来初めて、ケーシー被告の声が法廷に響き渡りました。
【事件の概要】
事件の発覚は、2008年7月。フロリダ州オーランドで当時2歳のケーリー・アンソニーちゃんが行方不明になったというケーリーちゃんの祖母からの通報がきっかけだった。祖母によるとケーリーちゃんの姿が見えなくなったのは通報の1ヶ月前の6月。通報から3ヶ月。検察は、ケーリーちゃんの母親ケーシー被告(25)を殺人罪などで起訴した。2ヵ月後の2008年12月、ケーリーちゃんの遺体は、自宅近くの森の中から見つかった。検察側の宣誓供述書作成などに時間がかかり、裁判の開始は事件発覚から2年半が経った今年5月までずれ込んでいた。事件がこれまでに大きく報道されたことから、陪審員は別の郡から選ばれた。
<公判31日目 6月29日(水)>
最初に証言台に立ったのは母のシンディ。
<母シンディ・アンソニーの証言>
・2009年2月にケーリーちゃんの「追悼式」を行ったが、心の中ではつい半年ぐらい前までケーリーちゃんの生存を信じていた。
☆ 「兄のリー・アンソニーが数年前のある晩にケーシー被告の部屋に忍び込むのを見たか?」という質問が飛んだが、検察の異議申し立てによって却下。
続いて証言台に立ったのは父ジョージ・アンソニー。
主に3つの事項について弁護側から質問がとんだ。
⇒ ①2009年1月の自殺未遂 ②ケーシー被告への性的虐待 ③車のトランクから「人間の遺体が腐った匂いがした」という証言について。
弁護側は、父親が自殺を図った理由について「ケーリーの死を隠匿したことへの罪悪感」からだとして、「父親が指南して死体を遺棄させた」というシナリオを正当化させるのが狙い。
また性的虐待について執拗に質問を続けるのは、「アンソニー家の家族関係は崩壊していた」との印象を強めるためか。
「ケーリーちゃんは生きていると信じていたのか?」という問いに、父ジョージが証言台で泣き崩れる場面も。
<父ジョージ・アンソニーの証言>
・ケーリーの遺体が見つかってから約6週間後に自殺を図った。
・すべてのことから逃れ、(あの世にいる)ケーリーと一緒に過ごしたいと願った。
・2008年7月に、放置されたケーシーの車のトランクで嗅いだ匂いは間違いなく、人間の死体が腐敗した匂いだった。
⇒ かつてオハイオ州で警官をしていたとき、人間の遺体の匂いは何度も嗅いできたから間違いない。
☆性的虐待に関するやり取りでは、父ジョージの否定の仕方があいまいで違和感があることを指摘するメディアもあった。
以下がそのやりとり。
弁護士 「あなたの娘に性的ないたずらをしたことは認めないんですね?」
父 「娘を傷つけることは決してしない。」
弁護士 「私は、『認めないのか?』と聞いているんですが。」
父 「そういった方法で娘に危害を加えるようなことはしない。」
弁護士 「そういった方法に限っては、ということですね?」
父 「・・・・」
・2008年8月にケーシー被告が保釈されている間、拳銃を購入した。
・ケーリーの居場所を知っていると思われる人たちに、銃を突きつけて白状させようと考えた。
・しかし、ケーシー被告の保釈中の銃の保持は許可されず、警察に没収された。
続いての証人は、前日(30日目)に証言した第一発見者ロイ・クロンク氏の息子。この日初めて証言台に立った。
長年、父とは会っていなかったが、ケーリーちゃんの遺体が発見される1ヶ月前(2008年11月)に父から久しぶりに電話があり、「ケーリーちゃんの遺体の場所を知っている」と告げられたと主張。
(弁護側は冒頭陳述で、「クロンク氏は2008年8月に森でケーリーちゃんの頭蓋骨を見つけたあと森の外に持ち出し、同12月の遺体発見前に再び森に戻した」と主張している。)
これに対し、続いて証言したクロンク氏本人は、「息子の記憶違いだ」と反論している。
<クロンク氏の息子の証言>
・2008年11月に父と電話で話した。会話の内容も覚えている。
・父は「これから金持ちな有名人になる」と言っていた。 ⇒ 報奨金がもらえることを示唆(?)
<第一発見者ロイ・クロンク氏の証言>
・私が息子に電話したのは、遺体が見つかった2008年12月11日。その以前には話していない。
・(第一発見者として)テレビに出るから見てほしいと息子に言った。息子が8歳のときから会っていなかったので自分の姿を見てほしかった。
・(発見時の状況について、遺体発見直後の証言と前日(30日目)の証言が食い違ったことについて)
発見直後には多くの警官がいたり、ヘリコプターが上空に飛んでいたりして、動揺したため間違った証言をしてしまった。